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ステンレスの特性と実際の加工事例を解説!

以前のコラムでも取り上げたステンレス製缶加工について、今回は実際の加工事例を交えて、ステンレス材の特性にフォーカスを当てた内容を解説いたします。

製缶加工についての過去のコラムはこちらから↓

・製缶加工とは?製缶加工の工程や板金加工との違いについて解説致します

・製缶板金加工とは?板金加工との違いやコストダウン方法についてご紹介

・ステンレスの製缶板金加工のポイントについてご紹介!

ステンレスの歴史について

ステンレスは、今日の私たちの生活には欠かせない材質ですが、その歴史は決して古くはありません。鉄は紀元前2,500年には使用されていたようですが、ステンレスは発明から今に至るまで100年弱しか経っておりません。鉄と比べると、最近のものといえます。ここまで歴史に差がある中で日常に必須となったステンレス材は近代技術と共に進歩してきた材質といえるでしょう。

ステンレスは鉄を主成分としてクロム(Cr)やニッケル(Ni)を含有した合金鋼であり、鉄最大のデメリットである腐食性を強化した革新的な材質となります。発明当初では厚板や丸棒のみでしたが冷間圧延加工の進歩によって薄板も製造可能となりました。

合金鋼ということもあり現在までに多くの種類が発明されてきました。(大まかな種類は次項で記載いたします。)JIS規格の種類だけでも70種以上も存在しており、海外規格まで含めると200種以上もあるようです。そのため、使用用途に合わせたステンレス材を選定することが重要です。

ステンレスの材質種類と製缶加工事例

ステンレスは一般的にはSUS(Steel Use Stainless)と呼ばれ3桁の数字と英字で種別されます。大きく4種類に分類されますので簡単な特徴と併せて紹介していきます。

オーステナイト系

代表的な種類としてSUS304があります。当社でも加工事例が多く、一般に延性と靭性に富んでおり、溶接性、耐食性、低温、高温における性質も優れています。使用用途は、家庭用品から建築用製品、自動車部品、工業系製品など多岐にわたります。

オーステナイト系の製缶加工事例紹介!

薬液タンク

全長5m ステンレス製ファンホッパー

フェライト系

代表的なものはSUS 430があり、フェライト系は熱処理により硬化することがほとんどありません。マルテンサイト系ステンレスより成形加工性と耐食性が良く、溶接性も比較的良好なので、広く採用されます。厨房用品、建築内装、自動車部品、電気器具部品などがあります。オーステナイト系では磁性はありませんがフェライト系は磁性があります。

二相系(オーステナイト・フェライト系)

オーステナイトとフェライトの二つの金属組織(二相)をもつことから二相系と呼ばれます。フェライトとオーステナイトのほぼ中間性質となり、耐海水性、耐応力腐食割れ性に優れつつ、強度も高いという良いとこ取りの性質を持ちます。この性質から海水に触れる場所での採用や熱交換器、排煙装置などの公害防止や化学プラント用装置で効果的に使用されます。

マルテンサイト系

代表的なものはSUS403、SUS410となります。焼入れにより硬化するので、成分と熱処理条件の選定から広範囲の性質が得られます。また、高強度、耐食・耐熱性が必要な機械構造用部品に使用されますが、溶接性は良くないため低温割れ等に留意が必要です。

以上、代表的な4種を簡単に紹介いたしました。これらの性質を理解して材質選定を行うことで実際の製缶加工へと移っていきます。リンクのある加工事例はいずれもSUS304加工となりますが、弊社では様々な加工を行っておりますので随時ご相談いただければ幸いです。

ステンレスの製缶加工について

ここまでステンレスについて記述してまいりましたが、実際に製缶加工の様子をご紹介します。今回は配電盤装置ボックス(SUS304 HL)の製缶加工となっており、実際の加工順にみていきます。

【ブランク加工】

レーザーで加工した部材です。(一部曲げ済み)随時バリを除去しながら次工程に渡します。

【曲げ加工】

細かな部材についても正確に曲げ加工を行います。

【溶接】

複雑な溶接部についても熟練した作業者が丁寧に溶接を行います。必要箇所について色取りも行います。

最終工程となる溶接では、各部材を組み上げる作業となるため、工場作業者と営業担当が密に図面と現物を確認しながら進めていきます。

【研磨加工】

写真は研磨した天面HLの様子と側面角がこれから研磨する箇所となります。溶接跡が綺麗になり違いを見ていただけます。

【製缶完了!】

再度すべてを養生して製缶完了となります。中の様子を確認しても溶接跡が綺麗になっており美観性をもった製缶製品となり、製図からCADデータ作成者と営業担当、作業者が綿密な打ち合わせを行った上で工程ごとに都度確認を進めながら完成とさせることができました。

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