製缶板金加工で取扱う鋼材についてご紹介!
板金加工に使用される鋼材は、材質や特徴によって沢山の種類に分けられます。
まず初めに、弊社に加工のご相談をいただく鋼材を、大まかに鉄鋼、非鉄、非金属の三種類に分類しご紹介します。
鋼材の種類
熱間圧延軟鋼板やステンレス鋼などを含む鉄鋼、アルミニウム板や銅を含む非鉄は、弊社でも多数の加工実績があり得意とする加工です。
鉄鋼 | 冷間圧延鋼材(SPCC)
熱間圧延軟鋼板(SS400、SPHC-P) 表面処理鋼板(ボンデ鋼板、亜鉛鋼板、ガルバリウム鋼板、ZAM鋼板等) ステンレス鋼(SUS304、SUS316、SUS430等) 縞鋼板 その他 |
非鉄 | アルミニウム板(A5000系、A1000系)
銅(銅→C1100、黄銅→真鍮、リン青銅) チタン その他 |
非金属 | 合成樹脂(アクリル、ポリカーボネート)
繊維材料板(木材) その他 ※非金属に関しては現状弊社での対応ができません。 |
中でも加工頻度の高い、熱間圧延軟鋼板(SS400、SPHC-P)と冷間圧延鋼材(SPCC)の違いについて以下で解説します。
熱間圧延鋼板と冷間圧延鋼板について
熱間圧延鋼板とは、スラブ(溶けた鋼を冷やして固めたもの)を加熱して熱いまま圧延したものを言います。熱延はコスト的に安くなりますが、ある程度以上に薄くすることが不可能で、材質を作り込むのが難しいです。冷延は熱延板に更に手間をかけるので、コストが高くつきますが、極限まで薄くすることができ、圧延とその後の熱処理の制御により様々な材質を作り込むことができます。寸法精度にも優れ、表面もきれいです。
材料の種類
一口に鉄鋼・非鉄と言っても様々な材質が存在し、種類も細分化されます。材料の材質や強度などの特徴によって、加工内容の向き不向きが存在します。製缶板金加工の際は、用途にあった材料の選定が重要となります。
以下で弊社加工に使われる主要な材料の特徴をご紹介します。
鉄鋼(熱間圧延)
SS400
SS材(一般構造用圧延鋼材)の中でも流通量が多く、代表的な材料です。一般構造用圧延鋼材の材料記号はSS(Structural Steel)で表されSS材とも呼ばれており、数字は最低引張強さを表しています。建築などでも、使用される一般的な鉄板です。安価で強度が高く、鋼材証明(ミルシート)が出るため、大型機械や強度の必要な部品に使われることが多いです。
SPHCーP 酸洗
鋼板で熱延鋼板の表面スケール(黒皮)が酸で洗い流し除去した鋼板です。加工性が良く、メッキもしやすいのが特徴です。しかし、空気中の水分などで錆びやすいため表面に防錆油が施され、加工塗装やメッキ無しで使用することはありません。
鉄鋼(冷間圧延)
SPCC ミガキ
Steel Plate Cold Commercialの略称で、冷間圧延鋼板の一種です。熱間圧延加工されて作られた黒皮の鋼板や棒材を冷間圧延加工によって再度加工していくもので表面に黒皮がついていない最も一般的な鋼素材とも言えます。
鉄鋼(表面処理鋼板)
SECC ボンデ鋼板
冷延鋼板(SPCC)の両面に電気亜鉛メッキを行い、そのうえにリン酸溶液中で浸漬過熱し、鋼板表面に不溶解性被膜を生成させるボンデ処理(リン酸塩処理)を施した鋼板です。また、表面には、リン酸亜鉛皮膜が形成されているため、これが塗装下地として機能し、密着性の高い塗膜が得られるため塗装性にも優れています。
SGCC 亜鉛鋼板
Steel Galvanized Cold Commercial の略称で、トタンとも呼ばれ、鉄に亜鉛メッキを施した材質。鉄が亜鉛におおわれていることで、耐食性が向上します。また、表面に傷がついて材質の鉄が露出してしまった場合、露出した鉄がサビてしまう前に亜鉛が腐食して溶け出し、再度鉄を覆います。この仕組みを亜鉛の「犠牲陽極作用」や「犠牲防食」などと称しますが、これによって亜鉛メッキは防錆効果が高まります。
ZAM鋼板
日新製鋼株式会社が開発した溶融亜鉛合金メッキ鋼板の商品名で、亜鉛(Zn)-6%、アルミニウム(Al)-6%、マグネシウム(Mg)-3%のメッキ層を持つことから頭文字をとって名付けられています。溶融亜鉛メッキ鋼板に比べ10~20倍も高い耐食性があります。
エコガル
溶融5%アルミニウムー亜鉛合金にマグネシウム、ニッケルを添加して耐食性を向上させためっき鋼板です。
ガルバリウム鋼板
表面処理鋼板のひとつで、具体的にはアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の3つの素材を組み合わせて作られていて、耐食性・耐熱性に優れた鋼板です。主に、外壁材や屋根材などに用いられます。
縞鋼板
縞鋼板
チェッカープレートとも呼ばれ熱延鋼板の表面に互い違いに格子状の小さな突起が、連続して付いている。これは、圧延時の仕上げに圧延ロールに滑り止め模様付きの専用の物をセットすることで形付けられており、この滑り止め模様は高い機能性を有し、用途は建築構造物の床や、バスやトラックなどのステップ、溝・排水溝やハンドホールの蓋など、幅広く使用されています。
ステンレス鋼
SUS304
クロムニッケルを成分に含むオーステナイト系ステンレスの代表格です。最もよく使われるステンレスです。基本的な性質は、他のステンレスとの比較で見た場合、耐食性に特化したタイプには及ばないものの、大気中での耐食性、耐酸性、耐孔食性、隙間腐食への耐性といった錆や腐食に強い点がまず挙げられます。
SUS316
耐食性の良いオーステナイト系ステンレス鋼の中でも特に、耐食性の良いステンレス鋼です。SUS304に耐食性の良いモリブデンを添加し、ニッケルの増量によって耐食性をより良くする効果があります。
SUS430
耐食性に優れた汎用のステンレス鋼材です。建築内装用、家庭用器具、家電部品、厨房機器などに使われます。
SUS 2B
厚さ6㎜以下の板材。HOT材を冷間圧延し、表面を仕上げるロールを通して作られます。耐食面で安定しており、最も一般的に使われています。
SUS NO1
厚さ3㎜以上の板材。熱間圧延工程の後、酸で表面につく黒い被膜や汚れを取り除いたものです。
HL(ヘアライン)
粒度が150~240番の研磨ベルトで、髪の毛のように長く連続した研磨目を付けたもので、シンプルなラインを持たせた美しい仕上がりです。
#400
2B仕上げ材を、400番手のバフで研磨仕上げをした光沢感のある材料です。
鏡面(#700~)
2B仕上げ材を、バフで研磨仕上げをし、鏡のようにより光沢感を出した材料です。
非鉄
銅
純銅の中でも電気導電性、熱導電性、絞り性、耐食・耐熱性に優れる。ただし、微量の酸素が残留しているため、600℃以上に過熱すると残留酸素と水素が反応して、水素脆性を引き起こすことがあります。
黄銅(真鍮)
銅と亜鉛の合金で黄銅とも言われ、この配合の割合や与える熱によって色が変わります。金のような美しい輝きを持つ金属です。
リン青銅
銅を主成分とし、これに錫を加え、りんで脱酸した有害成分を含まない環境にやさしい合金です。ばね性に優れている・強度が強い・加工性が良い・電気伝導率がいい・メッキしやすい・非磁性である・化学的腐食に強い・耐摩耗性が良いのが特徴です。
A5052
アルミ合金の代表的な材料で、マグネシウムを含有するため中程度の強度があり耐食性、成形性、耐海水性、溶接性も良い材料です。加工や工作に向いた材料で、最も多く流通しているアルミ合金です。
A1100
純度99.50%以上のアルミニウムです。加工性、耐食性。溶接性、表面処理性、電気や熱の伝導性に優れている。強度が低いため構造材には適さず、反射性、導電性などの特性を活かした反射板、装飾品、各種容器、放熱材などに使用されているのが特徴です。主な用途は1円硬貨などがあります。
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「BANKIN LABO」を運営する株式会社トリパスはステンレス鋼からSS400、アルミ加工など様々な素材での加工実績がございます。
加工事例のページでも多数ご紹介しておりますので、是非そちらもあわせてご確認ください!レーザー、プレス、曲げ、溶接、色取り、塗装まで一貫して対応が可能ですので、製缶板金加工でお困りの案件がございましたら、まずはお問合せページよりご相談ください!